大朝理化学巧業
プラスチックは、加熱すると軟化して加工出来るようになるが、そのまま加熱を続けると化学反応を起こして硬化するプラスチックを熱硬化性樹脂と言います。 硬化したプラスチック(熱硬化性樹脂)は、再度加熱をしても、変形・溶解しない特性を持っていますのでコンセントやブレーカーなどの電気部品によく使われています。
【熱硬化性樹脂の特徴】 ・耐熱性に優れている ・耐薬品性に優れている ・溶けない(滴下しない) ・硬い(機械的強度が高い)
電気絶縁性、耐熱性、耐燃性、耐薬品性、機械的強度、耐久性、耐水性、耐寒性などの特徴を持つ熱硬化性樹脂の成形材料には以下のものがあります。
樹脂成形加工の一大分野をなす成形方法です。スクリューが成形材料の可塑化により後退し、射出のときにはスクリューが前進して成形材料を押し出します。生産速度のアップや自動成形が容易で、複雑な成形品も大量に生産できます。
熱硬化性樹脂の射出成形にはインラインスクリュー式が利用されていますが、熱可塑性樹脂用の射出成形機とはシリンダの加熱方式やスクリューの形状に違いがあります。
インジェクション(射出)成形は、プランジャまたはスクリュウで粉またはペレット状の材料を計量して加熱した金型内に射出し硬化させる成形法です。
約50℃に加温した金型に材料を射出します。流動性を持たせ、高温の金型へ充填して硬化させます。
【インジェクション成形の特徴】 ・比較的に小物の成形品に適し、射出圧力、速度が多段制御できるのでバリが極力少なくできます。 ・低圧、低速制御が容易でインサートワーク等への負担を少なくできます。 ・インラインスクリュウ式の場合計量速度が安定します。パウダー材料時にバイブレータフィーダーにより材料を供給してより計量の安定を計る場合もあります。 ・加熱筒を媒体などで加熱して材料の流動性を上げています。 ・インサート成形、フープ成形や自動化が容易で無人化が計れます。 ・ガス抜き動作が容易にできます。 ・原料の流動特製から、射出成形困難なものがあります。
圧縮成形は各種のプラスチック成形方法のうち最も古い歴史をもち、熱硬化性樹脂の代表的な成形方法です。他の成形方法に比べるとあまり生産性が良くありませんが、この成形方法では射出成形やトランスファー成形では得られない多くの利点が残されており、特に製品の品質面からは、熱硬化性樹脂にとって重要な成形方法です。
その利点により、圧縮成形は重電機部品のように大型で高強度と耐熱性を要する製品には現在なお広く使用されています。
コンプレッション(圧縮)成形とは、圧力と熱によってプラスチックを成形します。 計量した熱硬化性樹脂を高温の金型内に投入します。金型を低圧で閉め樹脂を加熱してガス抜きを行います。ガス抜き後金型を高圧で閉めて金型の熱で樹脂を流動・固化させます。 圧縮成形方法はバリが発生するので後仕上げが必要になります。
【コンプレッション成形の特徴】 ・材料は通常金型のキャビティの中で溶かして、圧縮、硬化させますので、流動特性に制約がなく、すべての原料を使用できます。 ・流れが少なく、一様に加圧されるため、射出成形、トランスファ成形に比べて内部応力少ない製品が得られやすい。しかし、インサート物にも圧力が加わりますので、精細なインサート物には使用できません。 ・機械の型締力が直接製品にかけられるため、通常は大型製品や肉厚品にも適します。 ・型を閉じながら、成形するので、成形品の精度は出し難い。
圧縮成形ともに広く用いられている熱硬化性樹脂の成形方法のひとつで、加熱室(ポット)中で可塑化された材料をスプルー、ランナー、ゲートなどから加熱したキャビティ内に圧入して成形するものです。射出成形とよく似ていますが、加熱室中に1回分の注入量だけの材料を投入し、毎回加熱室に残留した硬化物(カル)を取り出す点が相違しています。製品の形状や寸法精度、あるいはインサート金具の種類などの関係から、圧縮成形ではトラブルが多いような品物を成形する方法として開発されました。